矛盾と勢い: 孫子で打つ手が見えてくる—2500年の智恵を生かす不敗の道—
上のものほど新しい記事となっています。
用間篇(第13)の重要さの例
用間篇は孫子の全篇の最後にあります。アンカーの位置ですね。逆に言えば裏から孫子全体をカバーしているとも取れます。
そして重要な点は、
・戦争には費用が半端ではない。国民の負担は一日に千金に及ぶ。
・遠征になれば運搬費用や軍夫も必要で、国民の家庭生活に影響する。
・敵と対陣する時間も費用が掛かる。
・戦闘が始まれば勝敗は1日で決まる。
・それなのに諜報担当に費用や褒賞、官位で報いることをしないで敵情を
探ることに注力しない指導者は国民への思いやりに欠ける。
・そのような将軍は失格だ!
以上のように「情報」に力を入れない指導者を罵倒しています。
ここで桶狭間で今川軍の情報をもたらした梁田政綱を一番の功績者にした織田信長は非凡であり情報の有用さを知っていたということです。今川義元に一番槍をつけた毛利新助よりも評価しています。
孫子の重要な点をまず教えてください。
孫子には有名なキーワードがいくつもあります。これらは大事な要点を簡潔な言葉で表しています。全13篇の要所でその篇の要点を示しています。
・敵を知り己を知れば百戦して危うからず(謀攻篇 第3)
・積水を千尋の谷に落とす(形篇 第4)
・正を以て合い、奇を以て勝つ(勢篇 第5)
・先手必勝(虚実篇 第6)
・専分衆寡(虚実篇 第6)
・風林火山(軍争篇 第7)
・正正の旗 堂堂の陣(軍争篇 第7)
・常山の蛇(九地篇 第10)
・爵禄百金(用間篇 第13)
これらに先立って現在の世界情勢を視野に入れますと更に13篇の中で力点ともいう篇があります。
順序として第1篇から始めるよりも、立体的に現在の情勢に当てはめて急所を見るために優先するところから始めたいと思います。
その急所とは第13篇用間篇です。
間とはスパイのことです。用間とはスパイの用い方です。情報活動にスパイが必須であると堂堂と記されています。あまりにもあからさまですがここが我が国と文化が違うところです。たしかに現在の世界で情報ほど重要なものはなく、我が国はこの点が弱いと指摘されて何年も経ちました・
要点は以下です。
1,情報にカネを惜しむな
2,テキより先に知ること
3,スパイの区分と使い方
4,諜報は軍の要
では次回から原文に沿って解説します。
孫子を生かして成功した歴史上の人物にはどのような人がいますか?
いま思いつくのは下の3人です。
徳川家康、武田信玄、楠木正成
徳川家康:努力家で読書家であったと言われています。蔵書は1万冊ありました。 駿河文庫として残っています。少年の頃、今川家に人質になっていまし た。子の頃、今川家の軍師であり武将でもあり禅の大家 太源雪斎に孫 子を教わりました。勢篇第5や虚実篇第6を用いた作戦があります。
武田信玄:風林火山の旗印で有名です。この言葉は軍争篇第7にあります。疾きこ と風の如し、しずかなること林の如し、侵略すること火の如し、動かざ ること山 の如しです。続いて同篇では知り難きこと陰の如く、動くこと 雷震の如しが続きます。四如でなく六如です。旗印として作戦に用いま したが病 気で野望を達成することなく上洛の途中、信州駒ん場でなくな りました・
楠木正成:幼少時に河内長野の大江時親(12代 大江広元の3代のち)に孫子を 習うため通ったと伝えられています。詐術を基本にする 孫子と国柄が異なる日本向けに孫子の補助教科書として闘戦経として編 纂されたものを教わりました。
次回からは歴史はココでひとまず置き、孫子の具体的な内容に入ります。先ほどの闘戦経にも触れます。
いまなぜ孫子なのですか、2500年も前の書籍がなぜ役に立つのでしょうか?
良い質問です。
2500年も昔のものですから賞味期限切れではないか、とのお考えは尤もです。
しかし見方を変えれば2500年も読み継がれてきたということはそれだけ役に立つ内容と考えられます。
米国の大学教科書売場に行きますと「The Art of War」との名前で原典を英語で書いた書籍が山積です。解説書も結構あります。米国の退役軍人でビジネスマンになった人が書かれた本など有名です。
外交や経済で米国や中国とのやり取りで新聞などで指摘されるのは日本の「戦略性のなさ」です。表面だけしか見ていないのではないかと思うことは多々あります。
経営の面でもM&Aなどが多くなる今どき、戦略の欠如は命取りになりかねません。
今後は要点を解説してゆきます。