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木村栄昌

冬の時代を笑いで乗切るために<短編物語>読むだけで税や会計の生きた知識が不思議に身に付く

<短編物語>第9話 資金城 盛衰記 第1話

ご案内
<冬の時代を笑いで乗切るために>で物語を連載しています。

 現在第8話まで完結しました。これまでの題名・主人公・テーマをリストにしてみました。さかのぼって次の<冬の時代を笑いで乗切るために>画面で読むことができます。

   <題 名>   <主人公>      <テーマ>

第8話 いとをかしM&A   単野社長・正井税理士 経営者保証 譲渡所得税                                                                        債務免除益 所得税法64条2項

第7話 サスペンデッドセンテンス 泰彦     キャッシュサイクル 輸入・                                                                         輸出消費税 課税選択 贈与                                                                         税の非課税特例 外貨預金

第6話 フラッシュバック アキラと徳井     資金、相続税、譲渡所得税
第5話 切り拓く明日   勇と陽一       起業 剰余価値 創業補助金第4話 まだ間に合う   えみちゃん・犬のケン 会社清算 欠損金 所得税
第3話 二次相続     和子、勝子、一郎   相続税 遺産分割
第2話 相続から争族へ  姉妹 vs 弟     相続税 連帯保証人
第1話 坂の下の泥沼   経理係笠間と経理部長 キャッシュフロー


<資金城 盛衰記 第一話>

主人公・資金さま(擬人化された架空の存在:泰平家具製造販売の資金城主。       イノチはないが5感+第6感は良い)
その他登場人物
・泰平社長(73歳 泰平家具店のオーナー。家具職人から始め「泰平家具製造販     売 」を経営してきた。天下泰平のおおらかな人物。一人暮らし)
・専務(社長の息子:仕事センムで遊び好き)
・見栄子:専務の妻(派手好き、酒も気ィも強い、他人の目を異常に気にする)
・地見行男(派遣の総務経理担当 前職で会社経理の経験あり。65歳)


資金城の見取図

本丸:営業循環資金の溜り場:ウリ・カイ資金が流れるところ。
固定丸:もっぱら固定費支払用資金備蓄場
金蔵出丸:次月支払資金の貯蔵場所
張出出丸:余裕資金の溜り場
奥曲輪:非常用、緊急用資金貯蔵庫

主人公・資金さまの考え方:

 本丸と固定丸に資金を循環させ、余剰資金は張出出丸にためる。金蔵出丸と奥曲輪には一定額の貯蔵以上はストックしない。しかし近年は資金支出が収入額を上回り本丸は資金不足の上、固定丸も資金不足に陥っている。その結果、張出出丸の資金減少が続いている。彼は危機感を抱いている。

泰平家具製造販売のこれまで

 泰平は学校を出てから同じ町にある中規模の家具製造会社に就職した。初めは営業に配属され一日あたり街の家具店への飛び込み50軒がノルマであった。小太りで色白の泰平は言葉遣いも穏やかでていねいであったため訪問先の家具店での受けは良かった。

 しかし販売するだけでなく商品の製造に興味が行き、希望して工場勤務にしてもらった。経験を積み材料の仕入れ、吟味から工程を一通りできるようになり、両親の死亡で相続財産としてまとまった預金が手に入ったことを機会に、会社のある街から離れた場所で起業することを条件に円満退社し、独立した。

 その時代は日本も高度成長期の最中であり住宅着工件数も右肩上がりであったため家具業界は好況であった。
 しかし新しい住宅、特に集合住宅には「造り付け」家具が徐々に多くなり、その反動が家具製造業界に現われてきた。また家具量販店が大きく展開するにつれて売上高も売上総利益率も芳しくなく、結局「製造」は職人の雇用維持も困難になったこともあり、泰平は数年前に製造を停止し販売のみに集中する決断をした。更に少子化の兆しはますますその傾向を強める上に、失われた30年を経て見通しはよろしくない状態である。