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これからの経営には数字と税金の知識が必要です

税務会計フォアユーパートナーズ

(担当)財務分析家
木村栄昌
(税理士・米国公認会計士)

木村所長に聞く

第 52 号「いい会社・資金繰り・日本とアメリカ・資産運用・IT」

   ご無沙汰してます、お元気ですか。

木村: また来たの、お陰様で元気ですよ。まあ水でもどうぞ。

   お忙しかったのですか。

木村: 昨年後半は、LAN 工事や所員一人一人に e-mail の導入、ホームページの開設、事務所管理ソフトの変更、アメリカ公認会計士の倫理テストや登録などでアッという間でした。


景気について

   最近景気も悪いですね。

木村: おっと、ちょっと待ってや。うちの得意先はそんなに景気悪くないよ。利益出て困ってる会社も多いし、逆に決算上は赤字でも、その会社の潜在力、たとえば社長の資質、構想力、よそに無い技術力、販売ノウハウなど長期的に見てこのまま引っ込んで負け犬にならず、必ず盛り返すことが予測される会社も多いので私は悲観していません。決算結果がたとえ良くても悪くなる兆候ばかりの会社は気をつけないといかんがね。

   よその税理士さんにきいたら関与先の 7 割が赤字でもうあきまへんわとおっしゃっていましたが。

木村: そうですか、それはその税理士さんが赤字や黒字という関与先企業の表面しか見ておられないからではないですか。

 私とこは数字の奥にあるものを見ようとしています。数字は結果に過ぎません。社長が現状を正しく把握して手を打った結果が数字になるのですから、今のような過渡期には企業体質を造り替えるため赤字になることは大いにあります。会計事務所の役目は社長が手を打ちやすいように会社の断面をお示しすることです。そしてヒントになる処方箋を出させていただくことです。

 将来に期することがあって赤字なのは正常と思います。むしろ過去の遺産で単調に利益出して税金だけとられる方が危機です。 経営とは「問題と矛盾の缶詰」のようなものですから、この流れの速い時代に対応して手を打つほど赤字になりやすいのです。ただその方向が「問題と矛盾」を解決して相乗効果のマグマを溜め、”やったるで”と、いづれ実現しそうな会社なら赤字でも気にしません。仮に規模が小さくなっても利益が出る体質になればそれでいいのです。


いい会社とは

   一言で言うと何がポイントですか。

木村: いい会社とは、社長がこうしたいと思った通りに実現されて行く会社です。量が大きいことではないのです。売り上げを大きくして規模のみを追い、それがカッコいい時代では有りません。量の大きさを競うのは子供のすることです。質の良さが一番 の要素です。

 質の良さは赤字や黒字という損益計算ではなく キャッシュフロー に表れます。損益は在庫や償却の判断次第で合法的にも左右されます。しかし資金繰りはストレートです。有るか無いかの真剣勝負です。うちは、先ほどの税理士さんのように表面の黒字や赤字の次元でなくキャッシュフローに最大のポイントを置き、「キャッシュフローに心配が無く、納税が少ない、または無い」のが最優良企業で、その逆が危険企業です。資金を安定させるため、月次の計算書とともに当座比率、流動比率、売り買いの回転日数、在庫回転率をベンチマーク式に小刻みに良化していくよう関与先に指導させていただいております。

 資金繰りの先行きと納税を予測するシュミレーションソフトを所員の皆さんが開発してくれ 4 月から 最新鋭の IBM 超軽量コンピューター を関与先に持ち込んで会社と膝突き合わせて「社長の思いの実現」をお手伝いします。よその会計事務所と私どもとは、考え方も仕事の仕方も違います。


木村会計のサービス

   同じ会計事務所でも違うのですね。

木村: 違っていいのです。あなたも私も、全く同じ人間は人類始まって以来現れたことはないのです。そしてこれからも現れないのです。その意味であなたは既に世界一なのです。ですから他人の真似や同じことをするのは大変損なのです。自分と人との違いをよく知り、他人に無い点で、自己の優れた点を見附けて努力し、人から何といわれようとも引っ込まずに打ち出していくことが近道だと思います。現代では時間は利益のことですから近道を行くことは「得」なのです。人まねや大勢と 横並びで行くことは 分かり易く言うと、損な、遠回りの、自己の精神が喜ばない道と思います。

 私は、所員の皆さんも得意先の社長もみなユニークで世界一と思っています。人間が精子と卵子のあれで生まれて存在するだけで奇跡と言われています。その奇跡同士が一緒に仕事するのですから、最高のものを提供したいのです。自分と他人の違いを知り、少しだけでも優れた点を磨き、お互いのお役に立たせていただくことは自分も他人も大切にすることに繋がります。「この社長はどこへ行こうとしておられるのか」何時も考え、沿うようにしたいです。

 時間に限りが有るので全部の得意先にはなかなかお会いできませんが、月次の試算表は全部見て担当者を通じて実態は把握しています。現在のポイントは

  1. その会社の弱点 をお伝えし補強されるのに役立つことです。資金、税金負担、税務調査、内部管理、会計組織、法務などです。
  2. 損益もさることながら 資金繰りの先行き が社長に見えるように(資金に興味の無い社長はいない)、計画的に運用できるようなお手伝いの体制づくりをしてます。

   ユニークですね。

木村: そうですか。私はそうは思いませんね。これで普通です。

 21 世紀はもっと個人が個性を要求される時代になると思いますよ。欧米や日本の中小零細企業してる人は 20 世紀でも個性的だったと思います。ただ日本は 徳川時代からの身分制 でお上第一でそこに明治の官僚主義がひっついて「日本的官僚経営」の形ができ、人々には由らしむべし知らしむべからずで、大きいことはいいことで成功してきたのですが、最近はメタメタですがな。


企業と個人

   どうしてですか?

木村: どうしてって・・・・・・不自然だからではないですか。組織と個人という相対立するものがあり二つの考え方が有ります。組織中心で個人は組織に従属するものという考え方と、個人中心で組織はその道具に過ぎないとの考え方です。「組織」には大は国家から、会社、スポーツのチームまであります。「国のために死ね」は前者の考え方です。戦争で大勢の人が戦場で死んでいきました。戦後も会社のためでここまできました。それが役目を終えたのはないでしょうか。

 会社法や法人税法の考え方で前者のように会社自体に実在論的意義を認める考え方を法人実在説といい、逆に法人は「個人の集合体に過ぎず、単なる仕組みである」という法人擬制説と対立しています。かつて商法を学んでいたとき法人擬制説の教授が法人の実在を否定し「法人の実在を主張するなら法人がレストランで食事している写真を持ってこい」と口癖のようにおっしゃっていました。そのとおりで、法人が一人歩きすることは虚構であり、あくまでも主体は個人と考えます。最近は、大きい企業もカンパニー制をとって組織上は小さくしようとしています。


資金繰りと税金の関係

   なるほど。ところで先ほどの話ですが、「キャッシュフローに心配が無く、納税が少ない」は現実的には可能なのでしょうか。キャッシュフローに心配がないならば利益も出て納税に苦しむのが普通だと考えるのですが。

木村: 良い質問です。その前に、キャッシュフローが良い会社は概ね利益体質ですが、利益が出ているのに金が無い会社も有ります。これは 本当は儲かってない、と思わなければなりません。「勘定合って銭足らず」という言葉や「利益出たのに金が無い」という言葉を平気で使っていますが、これは大間違いで、利益出る事と儲かる事とは別の事なのです。

「儲かっているのに金が無いのは、儲かっているとは言えない」との京セラ会計学の稲森会長の有名な話があります。経営者は単に差引き計算の利益が出る会社を作るのでは駄目で、儲かる会社(資金に不足の無い会社)を目指さなければなりません。私の言う「キャッシュフローに心配の無い会社」とは「利益が出る」とは別次元の「金のある儲かる会社」をいいます。儲かって金もある、そこへ税金払え言われると「この金を外務省の松尾に使わせるのか」と頭にくる。ここで納税も(法人税・所得税・相続税のトータルで)少なくしましょうと相談に乗れる会計事務所を目指しているんです。利益出た、金(かね)ない、税金払うため借入する、いつまでたっても資金貯まらん(これなら利益でないほうがマシ)、この地獄から脱出していただくお手伝いをします。このためには体質から変えていかなくてはなりません。時間がかかりますが、「儲かる」会社は何社も出てきています。しかし次のステップの税金を最小にとなると現実は難しいです。

 簡単な例が有ります。会社のサイズが大きいと難しいですが、社長が十二分に報酬をとり数年かけてストックして会社の資金需要に応じて資金を提供する、いわば社長が銀行の役目をすることで資金が循環し法人税も低く押さえられます。「キャッシュフローに心配が無く、納税が少ない」会社は小規模なら不可能では有りません。さらに、社債の発行、現物出資、などを研究しています。昨年4月から中小企業で社債を発行する場合審査に通れば国や府が90%を保証し銀行が引受ける制度がスタートしました。純資産が5億あればこの方法でも5億円まで直接金融が可能です。調達資金をどう使い返済(社債の償還資金)をどうつくるか計画がいりますのでお役に立ちたいと思っています。

 また、法人税はセーブできても所得税が無くならない限り、いくら 私の頭で考えても思考は壁に当たります。更に国際的に異常に高いと言われる相続税があります。それを突破して次のスキームを考えますが証券取引法の壁が有ります。中小零細企業相手の証券会社と銀行が一体になった機関が必要になるでしょう。また、企業もお金を銀行以外から集めることができるにはディスクロージャーが必要になるでしょう。

 今、商法で登記所における決算書の開示が予定されています。そうなると債務超過の会社は警戒されて支払条件がきつくなり、困ることになります。

   今日は私のほうがあまり時間が無いので、端的に一問一答でお願いできませんか。

木村: いいですよ。

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