要因1「相続税精算課税制度」
■ポイント
この制度のできた背景を分かりやすく簡潔にお願いします。

米国の町工場
木村: 日本の高齢者(一応 65 歳以上とします)は 世界一の金融資産 をもっています。この人達ががんばって戦後日本の社会がここまで来たのですが、あまりお金お遣いにならない。他方、政府は経済政策としてインフレを起こす政策に腐心しています。アメリカからも金よこせと催促されています。アメリカは株価が下がる一方でユーロが入ってこない(その証拠にアメリカの株価とユーロの価格は逆の相関関係になってます)、株価が落ちると EU はユーロをアメリカから引き上げるのです。現に米国株は下がってます。戦争の準備もあるのか日本からの金が頼りの面があります。日本はこれまでも今度も金を出す。そのためには貝のように財布の紐を閉じたあの世代の人々の財布の紐を開けてもらわないかん。どっと金遣い荒くなってもらって世間に カネ撒いて もらわないかん。
ところが、どっこいこの世代の人は戦後の荒波をくぐってきた人達やから賢いしシビヤーや。そこでパンパカパーン! 次の世代や更に次の世代に財産をシフトして大いに遣っていただくのがこの構想と考えています。税理士仲間ではこの新制度を「どら息子(娘)創造税制」と呼んでいます。息子が親御さんに輪を書けた堅実な人ならこの目論見は外れるのです。今後はあらゆるメディアを使って「ゴージャス」「ハイソサエティのあなたに」「絢爛たるあなたの人生を飾る」「選ばれたあなただけにこの贅沢を!」「今以上に羨望のあなたになるため」とかヘチマとか言って証券や金融機関が 財布の紐 を開けさせようとしてきます。そしてあわよくば株式にも投資してもらい政府の Price Keeping Operation をしなくても株価が上がることを目論んでいるのではないでしょうか?
証券税制が変って「特定口座」で税金の計算も納税も証券会社がしますという制度もどら息子作りとタイミングが合ってると言う見方も穿ちすぎとも思えません。
なるほど。私なんか 2500 万円貰ったら何に遣おうかな。でもどら娘にはなりたくないヮ。
木村: そうです。皆さんしっかりしてますよ。最近も用事があって帝国ホテル大阪界隈に行ったんですが、早目に行ったので周りのショッピングアーケードやレストラン街見て廻りましたがガラガラですがな。
でも生活者・納税者から見て、何かこの税制を活用できる面はないのですか。
木村: なかなか良い質問です。では「実行」の項目で話させてもらいます。
■実行
木村: まだ税制大綱だけですので条文が出てないのでアウトラインですが、この税制を選択することが有利ではないかと考えられるケースがいくつかあります。以下です。
- 値上がりする場合: 相続財産と合算する贈与財産価額は「贈与時の時価」ですから、相続の時まで評価額が上昇しそうな財産を子に贈与しておくと、時価上昇分は相続税の対象にならない。しかし、いま確かにデフレで下がってますが果たして底値かどうかは?です。
- 収益を生む不動産賃貸物件を贈与することで、賃貸収益分が早い目に 次の世代にシフトします。
- 相続が起こる前に早い目に「遺産」分割すること により「争族」が未然に回避でき易い。手の込んだ方法では、かなり纏まった額を相続人予定者にを贈与すると引き換えに遺留分を生前放棄させ(民法 1043 条:家庭裁判所の許可がいる)る方法もあります。
- 一時払いの生命保険の保険料を贈与する。(受贈資金で子が契約者、親が被保険者になり万一の時は子の一時所得になり相続税納税資金に充てられる。かなりの額の掛金分を一時に贈与できる。)
- 住宅取得の場合は更に1000万円上積みされて3500万円まで非課税ですから、考え様によっては早くから快適な家に住めるメリットがあります。

二宮尊徳 口述、福住正兄 筆記
村松敬司 編著
日本経営合理化協会出版局
ただし、私らは小学校の時、二宮尊徳の銅像で教えられました。人間は苦労して勝ち取ってこそ本物だと。あまり若い時に恵まれすぎるのもどうかなという一面があります。有名な二宮尊徳はお父さんが早くなくなって、お母さんと共に日夜働いたが貧乏に陥りました。お母さんの実家の父が亡くなった時、お母さんと共に葬式に参列に行ったが、あまりに二人の身なりがみすぼらしく貧しかった為、親戚扱いされず、葬式にも参列させてもらえず粗末な別室で簡素な食事を供されただけで帰らされた。その仕打ちが少年の尊徳さんには耐え難い屈辱であり、長女であったお母さんは「いたく憤るとともに、くやしさのあまり、嘆きに嘆いて、その後十日ほどで、この世を去ってしまった。父を失って二年後、尊徳十六歳であった。貧困のなかで味わったこの深い屈辱感は強烈な印象となって、長く尊徳の胸中に残り、後年、この話をするたびに、彼は声をつまらせ泣いたという。」(「二宮翁夜話」404 頁、村松敬司編著、日本経営合理化協会出版局 刊)彼は貧乏の惨めさを 終生忘れず勤労に蓄積に励み、それを梃子に大きな仕事をしたのです。人間にとって悔しい思いをすることが如何に大事かをこの話は示していると思います。このような一面もあるのではないでしょうか。
また 65 歳以上のかたがたは国民学校のとき戦争中でした。空襲、学童疎開などで苦労されました。戦後生まれは豊かで平和な時代でした。でもこれからは過去の時代はもうないのです。孫子でいういわば「死地」にあたり勇戦しなければ生き残れません。これからは苦労を苦労とも思わぬタフさが重要です。神さんは公平に試練を与えておられるように思うのです。
ああ、どないしょう。
木村: 一方「この世知辛いスピードの速い時代に悠長なこというてられへん。カネ握った方が勝ちや! カネに色はつかんでェ、金や金や!」との考え方もあるでしょう。あとはそれぞれの考え方です。
いま述べられました点はすべての人に当てはまらないように思うのですが?
木村: よいとこに気がつきましたね。その通りです。第一にするべき事は「本当に自分には万一のとき相続税がかかるのか、かからないのか」その点を知ることです。「敵(相続税額です)を知り己を知れば百戦して危うからず。敵を知らず己を知らざれば百戦して危うし」です。税金がかからないのに 徒に財産を動かすことも無い と思いますよ。下手に動かす と何かの税が絡みます。その時は「動かざること山のごとし」で不動でいいのです。それに 相続税の税率構造 と最高税率も今年の改正で下がります。最高税率は 70% が50% になります。でもまだ国際的に見て異常と私は考えてます。
ロシヤの小話に「旧ソ連の社会主義が最もうまく行ってる国はどこか、それは日本だ」というのがあるようですが、キツイですね。相続税がかかるかどうかはホームページでも見れる「相続贈与クリニック」をご利用ください。人間である以上、相続は避けられない訳ですが早いほど時間を味方につけて手を打てます。
先日も自分の経営する会社に個人のお金を貸したまま亡くなられたケースがありました。その会社は赤字でした。事前に相談をしてもらってたら相続税がもう少し減額されたのです。このケースが多いのですよ。そこの顧問されてる 会計事務所は何をしてたんでしょうね。
それ以外にも何点か首を傾げる点がありました。その方が「景気のいい時には会計事務所は正直言って何処でも良かった。今になってくると会計事務所を選ばなければと」おっしゃっていました。他山の石にしなければと思います。税理士と言っても色々なルートからなれますからその区別が一般の人から見て分からないのです。これほど 世間を欺く資格制度はありません。
ところで、2500 万円まで非課税の話に戻りますがこの制度のデメリットはないのですか。
木村: ハイハイ、そこをお話しなければ片手落ちというものですね。
この相続時精算課税制度というのは現行の贈与税の課税制度(毎年110万円まで基礎控除できる)と 選択制 です。現行と大きな違いは贈与税の非課税枠の扱いです。仮に 3000 万円を相続時精算課税制度で贈与したら(3000 万円−非課税枠 2500 万円)× 0.2 =100 万円です。(現実には一回で 3000 万円贈与する人は稀で何回かに分けます。そして非課税枠の 2500 万円をオーバーした時から 20% の一定税率で税金がかかります。)
他方 150 万円を毎年 20 年に亘って贈与すると(贈与税率と基礎控除額 110 万円は 20 年間不変と前提します)(150 万円−110 万円)× 0.1 × 20 年= 80 万円(各年 4 万円× 20 年= 80 万円)です。却って 現行法の方が税額が安い のです。さらに相続時精算課税制度では本当に相続が起った時もう一度 3000 万円を遺産に加算して相続税が計算され、その結果、最終相続税額が 1000 万円なら前に払った贈与税 100 万円は前払いとして相続税 1000 万円から控除され 900 万円が納税額になります。また、最終の相続税額が 1000 万円でなく 40 万円なら 60 万円( 40 万円− 100 万円=− 60 万円)が還付されます。
一方、現行法では贈与額の 150 万円は相続が起った時その時の遺産に 加算する必要はありません。相続開始前 3 年内の贈与に限って 110 万円を超える 40 万円のみ遺産に加算します。そして各年の 4 万円の合計(相続が起った年の贈与は贈与税の申告はしないので実際は 8 万円)は相続税額から前払いとして控除できます。ただし相続税額が上記合計より少ない場合は還付されません。
こうみると、デフレ下の今日、新制度(相続時精算課税制度)が本当に有利か?ですね。むしろ現行法のほうが 110 万円が「チリも積もれば山」のたとえ通り有利かも知れません。
また、従来からの 110 万円控除は年齢や続柄に関係ありません。お孫さんでもいいです。一方、2500 万円コースは 贈与する側は 65 歳以上、贈与を受ける側は2 0 歳以上の子と条件があります。
法律ができたら関係先様に集まってもらって今年はセミナーをします。その場で個別相談をすることも考えています。
では次の要因に行きますか。
要因2「各社の経営に役立つ情報」
■ポイント
木村: 計数を基礎にした経営が大事になってきました。
といいますと。
木村: 決算書とそれにあわせてお出ししていますキャッシュフロー計算書にその会社の重要な情報が入っています。月次また決算の際詳細にご説明させていただきますがよく聴いていただく関与先は6割ぐらいであとは今一歩です。6 割のところはその積み重ねで数字がよく読めるようになられています。ご質問も高度になってきます。
どんな点をポイントにして聞き読めばいいのですか。
木村: その数字や 結果を作ったのは社長 です。「ご自分の行動にすり合わせて数字を読めば」どこに弱点があるかはピンときます。社長さんはその企業の全体を把握されています。その点では一番理解しやすい位置にいられるのです。
■実行
木村: 全体の計数の意味が分ったら次はもっと分析的に見て利益が出たのはどの商品からか、どの得意先からか、その商品はどの仕入先からのものか、会社の誰が、どの部門が利益の源か、逆に損してるなら上記のように何が原因か、しつこく究明しないと折角顧問料や決算料払ってこれらの資料を入手されているのですから書き込んで使いこなしてほしいと思います。そのことが過去データを見るだけでなく中短期の先行きの 計画書 に繋がるのです。現に、追われるより目標を追っかけほうが迫力が出てくるし、決算の結果が出たときも比較して、どこがまずかったかの検討もできます。この差は大きいと思いますよ。「過去と他人は変えられないが、自分と未来は変えることができる」のです。右の言葉は私の友人で九州で税理士をしている池田繁美君の著述にあった言葉ですが、そのとおりと思いますよ。
経営とは従来の観念を破って新状況を創らねばなりません。昨日のために働くことから明日に向けて働くことです。
聞いた話ですが、会計事務所によっては依頼する会社が会計知識をもったら仕事が減るからわざと教えんとこもあるように聞きましたが。
木村: どこやそれは!
なにもそんな怖い顔しはらんでも。
木村: そんな事務所もあるかもしれんね。でもそこは事務代行が主で依頼先の会社にコンピューターがはいったら仕事がなくなるという発想やね。いまは代行の時代ではありません。遅かれ早かれ行き詰りますよ、そんな会計事務所は。それより、そんな会計事務所に頼んでおられる会社は不満がないのか?ですね。類は友を呼ぶのかもしれません。
釈迦に説法ですが、値段の安いのは中国製に太刀打ちできませんから 研究開発・技術開発 により 質の向上 が第一です。それには資金的にも余裕がほしいところですが各社は中々余裕がなく悪循環に陥りつつあります。わが事務所は「資金」を最大テーマにして対応しようとしています。後でも話します。要因3「株式をもっていますが、どうしましょ」
■ポイント

米国の住宅

米国の住宅地の昼下がり
木村: この点は私は専門でもないので 私見を控えめ に話すだけで済ましてください。私自身も昨年、円安になるとの判断から少しの金額ですが 1 ドル 130 円のとき外貨預金(ドル)をしましたが昨年末で締めると 50 万円ほどの為替差損が出てしまいました。
そんなこともあるのですね。これからはどうですか?
木村: ですから、大きなことを言う 資格はありません。
個人的な見解ですが、アメリカの株安が続いています。連動してドル安になり合わせて日本の対米輸出も(アメリカの購買力不振のあおりをうけて)不振になる、するとわが国経済にモロに波及し、そのうえ財政支出から増税が予定されてる。加えてイラク戦争が始まったら原油価格高騰の影響も来るのではないですか。テロ対策で国庫の資金を使う一方でブッシュさんは減税政策をとってきましたから、アメリカはお金がない、その上戦費が要るとなると益々金がなくなる。アメリカの残る手は金利を下げることといわれています。
こうなるとお金が米国から逃げ出します。ドルだけでなくユーロも下がりわが国では相対的な円高のもと、世界的に金(きん)はともかく、株は下がるのでは、と私個人としては観測しています。日本株についてはこれまで「最大の買い手である 米年金資金などの買い意欲はさらに減退する」(2 月 20 日 日経金融新聞スクランブル欄)から下がる傾向ではないでしょうか。特に投資信託は乗り合いですから不利で自己責任でなんとかしようにもどうにもならないものですから注意が要ると思います。
株より債券(社債など)のほうがまだ安定的と考えますが、発行元の財務内容をよく研究しないとジャンク(ぼろ)債は危険です。財務指数が一定の効率を示さない場合は早期償還される仕組みの「財務特約」(担保提供付き、純資産維持、配当制限などがあります)付き社債なら不安定さが減少すると考えます。発行会社の有価証券報告書や 社債格付、社債要項 などの資料をよく検討することです。
