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木村栄昌
NEWS

2025/12/27

お知らせ

令和7年の最終回の犬猫漫談と短編物語第7話 サスペンデッドセンテンス
をお送りします。

新年は1月10日(土曜日)から始めます。

<犬猫漫談>

犬式部:オイ、元気ないカオしてるね!もうすぐ新年を迎えるのに、、

猫納言:いろいろ考えてたら明るい気分にならないよ、、

犬式部:世の中思い通りにならんものと思えば?みんな一人一人は親切だぜ、ワ                ルサする奴も一定数いるけれどコレは昔からよ。キミは頭が良いからい                ろいろ考えるが俺なんかゴハンとメス犬のこと以外は何も考えない、分                からんことはキミに「何でや」と聞いたら良い。何が心配かね??

猫納言:ボスの資料を横目で見てたら来年はムツカシイ年になるかも。

    ・良い株はみんな25日移動平均線をはるかに超えボリンジャーバンドの2
               シグマに張り付ている。いつ下げてもおかしくない。怖くて買えない。
    ・ゴールドと銀の価格比率は今日で67.16だがプラチナとの価格比は                    1.8になっている。1以下が正常のところ、価格が開きすぎ。ボスによ                  ると金の異常高騰と欧州の製造業不振でプラチナ価格が低すぎらしい。

犬式部:それがどうした!

猫納言:欧州初の大不況の前触れかも。まだある。
    ・東京債券市場で日本国債売られまくりで価格下落、長期金利上がるば
      かり。
債券市場は日銀のコントロールが及ばない市場だ。日本売り                      が気になるの、、
    ・日銀が金利上げても円安は収まるどころか157円になった。

犬式部:何でや

猫納言:総理大臣が国債増発して積極財政を決めアクセル吹かした、他方、日銀                は金利上げてブレーキ踏んだことになる。金利上げても円高にならない。

犬式部:円安ということは日本大安売りで売られまくりカイ!

猫納言:円安が物価高の原因や。円で預金してたら値打ち下るだけ。実質賃金も                減ってゆく。外貨預金している人は放っといても資産増加だが全体に貧                乏になってゆく様子だ。

犬式部:エエ話はないのかね?

猫納言:ある。個人会社が増えている。個人事業も。若い層が自立する傾向だ。
    あるデータでは1958年にサラリーマンの比率が50%だったのが2012              年には87.5%ョ。戦後は自営が多かったのが勤め人になった。それが逆               に動き始めたようだ。日本は中小企業が巨大企業の系列下に組み込まれ               組織が大きくなる。ホールでイングス(HLDs)になってゆき大きすぎ               て巨象になる。最近、粉飾などで問題起こすのはHLDsや。
               寄らば大樹より自立や自己表現、一芸が大事になって来た。
   
*塚沢健二著「そして偽装経済の崩壊が仕組まれる」163頁 ビジネス社

犬式部:そういえば大ヒット中の映画「国宝」の世界も自分の一芸に打ち込むと                ころが半端なく魅力的だね。
     キミと話して分かったのは国も、巨大会社も限界がきてるのが数字で                分かってきて、来年には終わってゆくもの始まるもの、の境目が見え                てくるということだね!

猫納言:見える人にはね。バカなテレビやリスみたいに背中丸めてスマホばかり                見ていたら気がつかんかも。

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<短編物語>第7話 サスペンデッドセンテンス その4

パリ・クアラルンプール

 セミナーで脱皮から挑戦への気持ちが決まった泰彦は、会社に休暇を申請し取り急ぎパリに飛ぶことにした。フライトの間は頭をカラにするつもりであったが乗客やキャビンアテンダントのアクセサリーに気持が引き寄せられることに気がついた。会社に通勤している日々には感じなかった感覚であった。テイクオフの瞬間から気分が緩められて、情緒がゆっくりと彼本来の波長に戻ってゆくのだろう。

 パリでこれまで出張で使っていたモンマルトルに通じるガブリエル通りから入った路地のホテルに落ち着いた。搭乗中から気になったアクセサリーの店をいくつか覗いた。商事会社に勤める泰彦は輸入の仕事をしてきたがアクセサリー商品は扱ったことはなかった。

 インコタームズに基づいて契約書作成から船積や航空便の手配インボイス、パッキングリストの書類を整え通関業者に依頼する手順には慣れているものの、肝心の商品の目利きには自信はなかった。しかし日本では見ることがないユニークな商品には直ぐに手を出したい衝動に突き動かされることが度々あった。

 それと並行して資金の見通し、通関や輸入消費税の申告など未知の問題の解消にもエネルギーを割かなければならないが、それらのことは知った人に聞くことで乗り越えられると思い、ビジネスのシミュレーションができるように素材を集めることが一番の関心事であった。

 自分のすること、他人に任せることの境目をハッキリさせないと前へ進まない。ユトリロの絵で名高いサクレクール寺院裏手のコタン坂を下りながら彼は思った。

 数件の仕入れ先の会社案内などを手にした泰彦は次に東洋やイスラムのアクセサリーを調べたくなりクアラルンプールに向けて飛び立った。ドバイでの長いトランジットを経て翌日の夕方にスバン空港に着いた。

 空港から市内への道はアジアの臭いがして彼の好奇心を掻き立てた。早速、商材を求めて市内に繰り出した。プリントが美しいいくつかの商品に目が行ったが価格が結構高くロットも少ロットでは相手にされないことがハッキリした。ジョホールバルに寄ってシンガポール経由で帰国することも考えたがパリとクアラルンプールで得た情報を整理しビジネスの狙いを誤りなく絞ることがより重要だと思いマレーシアを後にした。

 パリでは女性ものの商品に限定していたがクアラルンプールに来て扱う商材は男性用や年配者用など広がって選ぶことで販路が立体的になることに気がついた。この点がアジアに足を延ばした効果だと思った。

 輸入業でやってゆけるかはキャッシュフローの扱い次第による。銀行借入や助成金についても調べなくてはならない。堅実に生活してきた彼の預金は2年間は食いつなげる金額であることも大きな力であった。

 ただ余剰資金を投資して殖やすことは回り道に思えたのですっぱり諦めた。休暇を取って海外に久しぶりに出たことが泰彦に自由な空気をもたらした。息の詰まるこの国から外へ出たことで決心が更に固まったのが一番の収穫であった。

 未知のことが多いがそれらを解消しつつ、海外へ自分のビジネスでリスクを背負って飛ぶ日々は、会社勤めでは得られない多くの宝物があるように感じた。

(2025年12月27日)
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