Try for you

木村栄昌
NEWS

犬式部:おーい、毎日暑いやおませんか?我々は毛皮着ているからやりきれない                よ。

猫納言:本当だ!もう8月も終わりのはずなのに、、、キツイね。

犬式部:早く毛皮が役に立つ冬が来てほしいね。ボスが先週、例年通り須磨ビー               チへ海泳ぎに行かれた。連れて行ってほしかったなー。

猫納言:キミは犬かきで泳げるから良いが、おれは泳げないし冷たいところ嫌                  や、、

犬式部:ボスは猫のキミも海に行きたければ一緒に連れて行ってくれると思うョ。
    ボスは犬と猫に差をつけるのが嫌なので連れてゆかない。仕方ないよ。               ところでボスは今は忙しいのかな。

猫納言:古い資料などを整理しておられる。古い情報で無用なものを捨てないと               斬新なものは生まれない。期限過ぎたものから妄想が生まれると仰ってい             た。

犬式部:なるほど。

猫納言:蝉の鳴き声がツクツクボウシに変わったからもう少しの辛抱だね。なる               べく涼しいところを選んで蝉の声をBGMに昼寝でもしよう。

犬式部:それがいい。寝るほど楽はなかりけり、というからね。ZZZ  

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冬の時代を
笑いで乗切るために
—これからの経済・世相に備える—

<短編物語>第5話 切り拓く明日 その5

前回までのあらすじ

 勇は会社と交渉して契約制に切り替えてもらうという。出口のない中小企業勤めの勇らしい選択だと陽一は思った。とともに、勇が言う「自分の値段は自分が決める。いつまで働くかも自分で決める。」の言葉が納得できた。以前の勇からはこのような言葉は聞かなかった。勇にその話をした専門家とかいう人に陽一も会ってみたくなった。

専門家に会う

 犬と猫を傍に置いて専門家は陽一に会ってくれた。陽一が自分の値段のことを訊くと専門家は優しく例を引いて説明してくれた。

 「人間が大人になった時、どの人も労働力という商品を持っています。若い時からやがて死ぬまで元気であれば、よほどの大金持ち以外は労動力を売って生活の糧を得ます。そのために勉強し、努力を積み重ねて、できるだけ労働力を高く売ろうとします。なぜなら、プロ野球選手や大相撲の力士さんの例でお分かりのようにある程度の年齢が稼ぐピークです。それ以降は下り坂です。どんな仕事にもピークと終わりがやってきます。」

 陽一は労働力を売る、ということの意味が分からないので、売り方があるのですか、どこで売るのですか、と質問した。

 「一番多いのは会社へ就職することですね。誰でも給料が多い会社を選びますね。これが労働力という商品を売る行為です。しかし労働力の値段は会社が決めています。高く売るには高い給料を払う会社を探すしかありません。」

 陽一は「自分で値段をつけるにはどうしたらいいですか。」と聞いた。専門家は「労働力を売る行為は勤務するだけではありません。会社勤務はサラリーマンという表現でひとくくりですが、工事をする場合、設計をする場合、野球選手としてチームに入る場合などは契約です。売手と買い手が交渉して値段や期間が決まったら契約します。

 陽一はそんなことも考えないでホテル会社の提示する給料に疑問も挟まなかった自分の無知に気がついた。

 陽一は番知りたかった点を訊いた。「では先生、その値段はどうして決まるのですか?」

 こういうことです「あなたが果物店をしているとします。仮にリンゴを100円で仕入れたらいくらで売りますか。」

「もちろん100円以上です。できたら1000円でも売れるものなら売りたいです。」

「そうですね。労働力も商品であると最初に言いました。買い手である会社は30万円で買った労働力で少なくとも30万円以上の価値を創造しないと利益が出ません。価値を創造するとは働かせることです。30万円で雇って20万円分しか働かない人であれば会社は損します。損だけでなく会社も危機になります。契約も同じです。買い手と売り手が交渉して買値以上の利益を得ることを買い手は考えるし、売り手も得た対価以上の価値を作り出すことをしないと契約は長続きしません。雇用の場合はこの点が見えにくいですが、交渉では一対一ですからお互いに納得した金額で決まります。」

 得た以上の価値を創ることと聞いて、陽一は会社という組織の中で懸命に働いても、その価値を労働力の買い手である会社は認めてくれているようには思えない自分がいた。

 そして陽一は思った。それなら目の前のお客様に価値のある料理を自分が直接提供して喜んでもらう、そしてその売上金は自分の手に入る、これほどわかりやすい話はない。

 勇が今が時期だといった意味もわかった。体力がある今、行動しないと10年もたてばその気力がなえるのは自然のことである。

次回予告
 専門家からアメリカでは、渡米した日本人は賢いからドンドン起業して成功している話も聞き挑戦の腹を固めることになる。

(2025年8月30日)
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